◇米軍空爆するもイスラム国の猛攻続く
シリア・イラクで勢力を拡大する武装組織イスラム国。米軍の連日の空爆にもかかわらず、その勢力は衰えを見せていない。トルコに接す るシリア北部の町、アイン・アル・アラブ(コバニ)は、3つの方角からイスラム国により包囲され、地元クルド人組織とのあいだで激しい砲撃と市街戦が繰り 広げられている。イスラム国が周辺地域を次々と制圧したため、10万を超える大量の避難民がトルコ国境に向かった。トルコは人道措置として一部を受け入れ たものの、国境を越えられないまま取り残される住民も出ている。町を死守する人民防衛隊(YPG)は、イスラム国の猛攻を前に、劣勢に回っている。
いまも町に残る住民が12日、砲撃にさらされる町の様子を電話で伝えてきた。イスメット・ハサン氏(48)は、地元暫定行政局で町の防衛責任者を務め、や住民支援などをおこなっている。【聞き手:玉本英子・】
◆市内はどういう状況ですか?
イスメット氏:戦闘は一段と激しさを増しています。イスラム国は戦車と大砲でひっきりなしに砲撃を加えていま す。すでに町の30パーセントが制圧されました。防衛組織だけでなく住民も銃をとって戦っています。ここはすでに1か月近く攻撃にさらされています。持ち こたえられるかどうかはわかりません。
◆米軍はイスラム国拠点に空爆をしているのですか?
イスメット氏:数機の戦闘機が上空に見えます。4、5回、やってくることもあれば、1日に10回以上目にしたこともあります。1度に10~12回、爆撃があります。1度に20回爆撃していくこともあります。イスラム国の施設や塹壕を破壊しているようですが、彼らの勢力は衰えていません。
◆現在、市内にはどのぐらい住人が残っているのですか?
イスメット氏:多くの住人は、できるだけトルコ国境ぎりぎりの場所へと移動しています。でも多くが国境を越えさせてもらえません。人民防衛隊の戦闘員のほかにも一部住民が市内にとどまっています。みんな最悪の事態を覚悟しています。(つづく)
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