東日本大震災・福島第1原発事故から3年半。半径20キロ圏内の旧警戒地区では4月に田村市、10月からは川内村のそれぞれ一部で避難指示が解除された。 9月半ばには帰宅困難区域内の国道6号線も全線開通、安倍総理は「復興のスピードアップに役立てたい」と述べていた。一方で、原発事故収束の目処は全く立 たないまま。駆け足で福島の浜通りを訪ねた。(栗原佳子 新聞うずみ火)
◆国道6号線、高線量エリアを走る
レンタカーで南相馬市から国道6号線を南下した。福島県の太平洋岸、いわゆる浜通りを南北に貫く大動脈。浪江町に入ると左手に結婚式場が見えてき た。門出を祝う人で賑わったはずの駐車場入口には「自動二輪車、原動機付自転車、軽車両、歩行者は通行できません」という立看板。通行できるのは、窓を閉 め切った四輪車に限られている。
ほどなく双葉町に入る。「この先帰宅困難区域」の看板の脇で、マスク姿の警官が誘導していた。帰還困難区域内の片道14キロ、その北端部。半月前ま でバリケードがあった境界線を、フリーパスで通り抜ける。信号は黄色の点滅。駐停車はできず、走り続けるしかない。脇道は全てバリケードで封鎖されてい る。
大熊町に入ると「福島第一原子力発電所」の標識が見えてきた。直線距離で2キロ。6号線で最も原発に近い場所だ。林の上に何本ものクレーンが頭をのぞかせている。車内の空間線量も毎時3マイクロシーベルト、4、5とみるみる上がった。最大で6~9にもなるという。
全線開通を前に国が計測した車外の空間線量は平均で毎時3.5マイクロシーベルト、最大で毎時14・7マイクロシーベルトだったという。ちなみに 「14キロを時速40キロで走った場合の被ばく量は毎時1、2マイクロシーベルト」で問題ないレベル、というのが国の見解である。
大熊町と双葉町は中間貯蔵施設が建設される予定だ。「中間」とは名ばかり。「最終」のあてもない見切り発車である。突然、宿場の名残のような街並みが現れた。家々の入り口は全て高いバリケードで塞がれている。
14キロの南端は桜の名所として知られる富岡町の夜ノ森。繰り返し目に入る「獣衝突注意」「猪衝突注意」などの看板が無人になった歳月を物語る。 「福島第二原子力発電所」への標識が見えてくるともうそこは楢葉町。二つの原発が双葉郡の浜通りに近接していることがよくわかる。(つづく)
【栗原佳子 新聞うずみ火】
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