◆リニア新幹線計画と原発の関係...

今回の掘削工事の背景にリニア開設があるのではないかと指摘するは声は少なくない。

リニア新幹線は磁力で車体を10センチ浮上させ、最高時速500キロで走る。2027年に東京―名古屋間を40分で、45年には大阪まで最速67分で結ぶ。9兆円もの建設費はJR東海が全額負担し、来年春にも本格的な工事が始まる。だが、課題は山積している。

11月16日に京都市内で開かれた「リニア新幹線環境問題勉強会」で、「リニア・市民ネット」代表で慶応大学名誉教授の川村晃生(てるお)さんが問題点を指摘した。

まず経済性の問題で「最初の見積もりで済むはずがない」という。東京―名古屋間の86%はトンネル。とりわけ南アルプスを貫く工事は難航が予想され、工費がさらに膨らむと指摘する。

「JR東海は2兆円の借金を背負っており、前社長も『リニアだけでは絶対ペイしない』と発言している。当てにしている東海道新幹線は人口減少と高齢化で利用客はますます減っていく。赤字が出れば国庫からの補てん、税金の投入です」

さらに、JR東海がリニアのエネルギー消費量を東海道新幹線の3倍と発表していることに触れ、川村さんは「リニアの消費電力は、大阪までの開業時に 1時間あたり8本運行した場合で74万キロワット。原発1基分です。JR東海名誉会長の葛西敬之(よしゆき)氏が原発の再稼働を主張していることと考え合 わせると、リニア計画と原発は切り離しできない」と訴えた。

このほか、南アルプスにトンネルを掘ることによる地下水への影響、電磁波の人体への影響など不安な点は多い。

JR東海は公共交通機関として乗客の安心・安全を守る義務がある。同時に、路線沿いで暮らす住民が安心・安全に暮らせるように努める責任もある。(おわり)
【矢野宏 新聞うずみ火】

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