◆押収物に大量の薬物
12月21日夜、シリア北部の町コバニ(アイン・アル・アラブ)の市街を包囲するイスラム国に対し、クルド組織、人民防衛隊(YPG)勢力は一部地区の奪 還作戦を敢行し、イスラム国拠点のひとつであった文化芸術センター建物を取り戻した。作戦は他地区でも行われ、一連の戦闘でイスラム国側に24人の死者、 クルド側にも負傷者が出た。
拠点から押収されたのは武器や薬物、自爆用の爆弾、イスラム国の旗など。薬物は戦闘中の恐怖心を抑えるために戦闘員が使用しているものという。 YPG戦闘員のひとりは「これで町の奪還にはずみがつく」と話した。
コバニではこれまでイスラム国の包囲が続いていたが、9月15日にイスラム国側が大攻勢をかけ、町の半分近くを制圧した。これに対しクルド側は徹底抗戦で のぞみ、町の抵抗戦は100日目となった。周辺地域の村々もふくめてすでに20万ちかくの住民が隣国トルコなどへ脱出している。
イスラム国に対し、地元のクルド人民防衛隊や、イラクからのクルド民兵ペシュメルガなどが地上戦を展開、米軍が町の周辺のイスラム国軍事拠点に対し、空爆を続けている。【玉本英子】
〔シリア・コバニ現地報告1〕 戦闘続くコバニ~クルド人民防衛隊イスラム国の拠点を奪還
〔シリア・コバニ現地報告2〕 再び訪れたクルドの町は戦闘で瓦礫に
〔シリア・コバニ現地報告3〕 砲撃におびえる市民
〔シリア・コバニ現地報告4〕 戦時下の過酷な市民生活
〔シリア・コバニ現地報告5〕 イスラム国に狙われる病院
〔シリア・コバニ現地報告6〕 自由シリア軍の青年
〔シリア・コバニ現地報告7〕 イスラム国、戦闘員に「士気高揚」の薬物供給か