◆ 日米関係のあり方を市民が考え、議論するために

これまで米軍機墜落事故や米兵犯罪の被害者が、損害賠償を求める民事裁判で、責任の所在を明らかにするため、米軍の事故調査報告書や米軍による米兵への飲酒規制・外出規制の記録を法廷に提出するよう、地位協定に則り裁判所を通して求めてきました。

しかし、米軍がほとんど応じないため、真相解明と責任追及が阻まれつづけています。

その背後には、アメリカの利益を害するような情報は裁判所に提供しなくてもよいという密約があると考えられます。

ただでさえアメリカ側に有利な地位協定の不平等性を絶対化する密約は、明らかにして廃棄すべきではないでしょうか。

日米関係のあり方を市民が考え、議論するためには、日米両政府間の合意事項を包み隠さず明かしたほうが、市民の「知る権利」に応えて政府の説明責任を果たすことになり、公益にもかないます。

問題の密約文書の英文は作成から30年以上経過し、アメリカでは秘密指定解除されて、国立公文書館ですでに公開されています。だから日本で公開されても、外務省が不開示の理由とする「米国との信頼関係を損なうおそれ」はないはずです。

審査会は情報公開に詳しい法学者や弁護士や元検事など総理大臣任命の委員15名から成ります。不開示決定が妥当かどうか調査審議するため、不開示文書を行政機関に提出させ、見分する権限を持っています。審査会は本件を2年がかりで調査審議し、前出の答申を出したのです。

審査会は外務省に「合意に係る日米合同委員会議事録」を提出させ、見分したうえで、こう判断しました。

和文と英文の「議事録」全92ページのうち77ページを占める10点の和文の文書は、日米の合意文書で、質問に対する一致した見解というかたちで合 意した内容も含まれる。外務省の主張するような、アメリカ側との合意がない限り公表しないとの定めは確認できず、公にしたとしてもアメリカとの信頼関係を 損なうおそれはなく、開示すべきだ。

そして、外務省の対応について、「行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにする情報公開法の目的に照らし、不十分と言わざるをえない」と批判しています。

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