特定秘密保護法が施行され政府による情報統制の強化が懸念される中、それに風穴を開けようとする取り組みが始まった。日本版ウィキリークスとも呼べる公益通報用のウエブサイトがそれだ。早ければ2月にも稼働するという(アイ・アジア編集部)。
サイトの名称は「Whistleblowing.jp」。日本語では、「内部告発.jp」。このサイトは、アクセスした先の端末に別のサイトから接続して いるように見せる匿名化技術を用い、政府や企業の不正を内部から告発しようという人の身元が判明しないよう設計されている。これによって、いわゆる内部告 発者(公益通報者とも呼ぶ)を守りつつ社会の健全化を実現することを目指している。作成した駿河台大学八田真行講師が、12月19日、早稲田大学で発表し た。
八田講師によると、サイトの仕組みは次のようになる。
このサイトをネット上の「土管」として使い、内部通報者がジャーナリストに接触する。その際、ジャーナリストはサイトに予め登録されており、内部通 報者はリストからジャーナリストを選んで情報の提供を行う。情報を受け取ったジャーナリストはサイトに疑問点などを登録することが可能で、内部通報者がそ の疑問点に回答することもできる。ただ、直接に接触することはサイト上ではできない。あくまでも内部通報者を守る必要があるからだ。
既に欧米では稼働している仕組みで、オランダではこの仕組みで明らかになった情報で政治家が摘発されているという。八田講師は、11月にフィリピン のマニラで開かれた第一回アジア調査報道会議(主催:Global Investigative Journalism Network)でサイトの取り組みを説明し、アジア各国のジャーナリストから強い関心が示されたと言う。
特定秘密保護法との関わりについて八田講師は
「私自身は保守的な思想の持ち主で、法律の趣旨に反対しているわけではない。ただ、アメリカなどと比べると情報開示への取り組みが弱いのは事実」
と話す。
自身が秘密保護法のほう助の疑いで取り調べを受ける恐れもあるのではないか?そう質問すると、
「特定秘密保護法で私を有罪にするのは難しいのではないかと思っている。ただ、何かしらの疑いをかけて逮捕されるというような事態は起こり得るだろう。それは覚悟の上だ」と話した。
八田講師は、サイトを効果的に運用するには内部通報する側と受け取るジャーナリストの双方に仕組みへの理解が不可欠だと説明する。この為、来年1月 中にジャーナリストなどに対する研修会を開き希望者をリストに入れる取り組みを始める。そして早ければ2月にも本格的な運用を始める。
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