4人の医師に加え、看護師、薬剤師数人が、いまも戦火のなかにとどまっている。そのひとり、ヒクメット・アハメット医師(43)はコバニの出身だ。
「毎日、たくさんの負傷者が担ぎこまれる。なかにはイスラム国戦闘員の負傷者が運ばれてくることもある。もちろん複雑な気持ちだが、患者には違いありません。医師として最善の処置をします。とにかくこの戦争を止めさせないと、人も、町も、みんな壊されてしまう」
暖房の燃料がないため、分厚いジャケットを着込んだまま治療にあたっていた。この1か月半、病院に泊まり込みだという。
コバニの人びとは激しい砲撃のなかで暮らしている。国際社会、そして日本の皆さんがこの町の過酷な状況にある住民に少しでも関心を寄せほしい。医師はそう話した。
【玉本英子】
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