◇ 神戸市の見解
再開発した建物の不動産管理などを担っている新長田まちづくり株式会社が作った資料がある。
アスタ地区入居率(2014年12月1日現在)
それを見ると総面積のうち、約94%が埋まり、区画数でも90%が埋まっている。これを根拠にしているのだろうが、神戸市市街地整備課の天野稔也課長は「全国的な商店街の状況からみると、決して悪くない」と胸を張った。
「この資料の内容と、私が実際に「アスタくにづか」で見た内容とは異なるような気がするが?」と質問をぶつけてみた。天野課長は次のように説明した。
「店舗は分譲や賃貸で埋まっている。売上など経営上の都合で店を閉めている場合もある」 空き店舗に見えるのは商売を中断しているだけで、それは経営者の判断であって復興計画の問題ではないという主張だ。
それは伊東さんにはどう聞こえるのだろうか。再び伊東さんを訪れた。伊東さんは一瞬、表情を強張らせたように見えたが、直ぐに穏やかな表情に戻り口を開いた。
「明日に向かってみんなで協力していく、これしかない。今の経費を少しでも安くするというのを行政にもっと応援して頂けるよう、話し合いの中で決めていかなければいけない。我々も前を向いていきますので、行政の方も真剣に(考えてもらい)、手を取り合って進んでいきたい」
震災からの復興の問題は、東日本大震災の被災地でも既に顕在化し始めている。行政主導の大型公共事業が本当に地域の復興につながるのか、注視する必要がある。
(おわり)
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