◆アメリカの意向で動く日本

R:日本の原子力政策にはアメリカの強い意向が働いていると言われています。今後の日本の原発再稼動についても、アメリカが影響を及ぼしているのでしょうか。

小出:日本というこの国は米国の属国だと、私はずっと発言をしていますけれども、政治的にも経済的にも、完全に 米国の子分のような位置にあるわけです。特に原子力は、巨大な米国が世界を支配するために動かしてきたわけですし、原子力全体が米国の政治的あるいは経済 的な思惑の下で動いてきたと思います。

R:原発再稼働という点において、日本はアメリカの意向を無視することはできないのでしょうか。仮に、日本の総理大臣なり、しかるべき方が原発再稼働をさせないという発言等をすると、やはりかなりアメリカから圧力がかかってくるというようなことになるのでしょうか。

小出:当然そうだと思います。例えば、鳩山さんという方が首相になって、普天間の移設先は必ず沖縄県外だと発言をした途端に、鳩山さんは追い落とされてしまったわけですし、原子力も恐らくそうなるだろうと思います。

R:原子力においてアメリカの影響力が非常に強いというのは、これは原子力をはじめた当初からそうだったのでしょうか。

小出:そうです。もともと米国は核兵器を作るために技術を開発したわけですが、それを膨大に持ちすぎてしまって 重荷になってきたので、商業的あるいは平和利用を標榜して世界に売りつけ、それで金儲けをしようとしたのです。日本は第一の標的にされて、米国からどんど ん原子力を買わされてきたわけですから、簡単には抜けさせてもらえないです。

R:なるほど。ただ一方で、アメリカ国内では非常に今、原発はできるだけやめていこうという、ある意味逆の方向へ向かおうとしているわけですよね。

小出:もちろんです。米国の中では、原発はもう経済性は全くありませんので、原子力をどんどんやめていくことになります。ただし原子力を簡単にやめてしまうと、米国の原子力産業ももちろん困るわけですから、海外に売りつけて延命を図るということになっているのです。

R:なるほど、よく分かりました。

原子力エネルギーにおいて、「核のゴミ」が出ることの問題認識は広く知られている。しかしながら、入り口部分であるウラン資源が貧弱であることや、 ウランを採掘する過程での被曝労働などはあまり広く知られていない。私たちは、国内の原発作業員の被曝労働や核のゴミの後始末といった問題だけでなく、 もっと幅広い視野で原子力の諸問題を見ていかなければならない。
※小出さんの音声をラジオフォーラムでお聞きになれます。

「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ

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