「核のゴミ」は原発から出るものだけではない。それ以外にも、研究所、病院などいろいろなところで放射線が用いられ、「核のゴミ」は生み出される。それらはどのように処理されているのだろう。京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム

元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん
元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

◆アメリカとの契約

ラジオフォーラム(以下R):今回は放射性廃物の処理をテーマにお伺いします。

小出:まず、「放射性廃物」という言葉を使って下さってとてもうれしいです。普通は皆さん「放射性廃棄物」という言葉を使うのです。そして、廃棄物というのは「ダメになったから棄てる物」と書くのです。

R:そうですね。

小出:普通の、例えば家庭のゴミ、生ゴミだろうと肉だろうと、環境に捨ててしまえば、いずれバクテリア等が分解 して始末をしてくれます。けれども放射能に関しては、自然には全く分解作用も浄化作用もありませんので、放射能のゴミは棄ててはいけないのです。だから、 私は廃棄物ではなくて廃物と呼ぶようにしてきたのです。放射能のゴミというのは特別なゴミだということを忘れないでいて頂きたいと思います。

R:そうですね。原発というものを稼働させる限り、現代の科学では処理できない放射性廃物というものを抱え込むことになります。しかし、実は放射性廃物というのは原発以外の施設からも発生していますよね。

小出:そうです。

R:小出さんが今、在籍している京都大学の研究用実験炉も含めて、日本では現在14基、研究用原子炉が運転されています。

小出:はい。そういう所でも当然、原子炉を動かしているわけですから、核分裂生成物はできますし、さまざまな実験をすることで放射能のゴミができてきます。そのお守りをどうするのか、どうできるのかと長い間、苦しんできているという歴史です。

R:小出さんはその中でも、そうしたものの管理をされているそうですね。

小出:私自身、京都大学原子炉実験所の中では放射能のゴミのお守りをするという部署におりまして、なんとか放射 能を環境に漏らさないようにして、長い間、仕事を続けてきた人間です。なんとかこれまでは、福島第一原発のような大きな事故は起こさずに稼働させてきまし た。けれどもこれからは、核のゴミの始末が本当にできるのか、頭の痛いことになってしまっています。

R:聞くところでは、核のゴミはこれまではアメリカに引き渡されていたということですが、2019年5月以降、 この契約は延長されない可能性があるということですね。まず、研究炉での使用済み燃料がもしも今後アメリカに引き取ってもらえないということになったら、 どうなるのですか。

小出:大変困るわけです。ですから、京都大学原子炉実験所としても、使用済みの燃料を抱えたままではとても難し いだろうということで、とにかく米国が引き取ってくれているうちは、まずは運転をしたいと希望しているわけです。米国との交渉で、米国が引き取ってくれる 期間というものをもし延ばしてもらえるのであれば、まだ更に何年かは運転できるだろうということを期待しているという状況です。

R:突然、アメリカはなぜ契約延長をしないという判断をしたのでしょうか。

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