「11月から電力供給ほとんどゼロ」「皆、中国に逃げたがっている」
金正恩政権が発足して3年。新たな指導者による「生活水準の向上」の約束に、一時期待した住民も少なくなかった。しかし、この3年間は失望の連続で あったという声が北朝鮮内部から数多く聞こえて来る。2014年12月、暮らしの現状を両江道に住む取材協力者が伝えてきた。 (ぺク・チャンリョン)
記者:金正恩政権下での生活も3年になりますが、暮らしぶりはどうですか?
協力者:暮らしなんて...何もよくなったものはありません。生きていくのがどんどんしんどくなっています。生きるということが...。
記者:それでも、3年が経って最初の頃より少しはましになった部分はありませんか?
協力者:ありませんよ。悪くなる一方です。統制が厳しいので、中国に逃げたいという人が増えました。最近は「哀悼期間(故金正日氏の命日の追悼期間)」なので、全く動けませんけれどね。もし、取締りが弱まれば、皆逃げますよ。
記者:それほどですか?
協力者:はい。ここにいたいと思う人はいませんよ。
続いて電力事情と水供給の問題について訊いてみた。
記者:電気はきちんと来ていますか?
協力者:電気ですか?1日24時間、まったく来ませんよ。電灯はずっと「またたき」もしない。それ以前は少し来ていたのですが、11月になってからは電気が一切来ません。真っ暗闇です。
記者:一秒も来ないということですか?
協力者:そうですよ。
記者:では、皆、発電機で電気を賄っているということですか?
協力者:生活に余裕がある家では発電機を使いますが、そうでない家では、ろうそくや灯油ランプで過ごしています。
記者:水事情はどうですか?
協力者:水道管が凍り付いてしまって、長い間川の水を飲んで暮らしています。
記者:鴨緑江の水を飲んでいると?
協力者:はい。上流では洗濯をして、下流では水を汲んで飲んでいる有り様です。
※アジアプレスでは中国キャリアの携帯電話を北朝鮮に投入して内部と通話している。