◆困窮する地元市民 外国人戦闘員は高待遇

武装組織イスラム国(IS)による湯川遥菜さん、後藤健二さんの人質事件は、非常に残念で厳しい展開となった。二人が一時拘束されていたの はシリア北部の都市ラッカといわれる。2013年春以降、ISによって制圧され、現在はISの「首都」として実質的な統治が行われている。市内では当初、 過激主義の登場と暴力的な支配に反発する知識人や活動家がいたが、ISは反対派を相次いで拘束・弾圧したため、反対派のほとんどはすでに町を去るか、国外 へ逃げるなどした。だが、いまもラッカ市内に残り、命がけでIS支配下の実態を世界に伝えようとする人たちがいる。そのひとりがアブイブラヒム・アルラッ カウィ氏だ。2月上旬、電話でラッカで活動するアルラッカウィ氏とのインタビューをおこなった。【取材:玉本英子】(全5回)

食料入手もままならぬ一般住民

◆あなたは現在どこにいるのですか?

アルラッカウィ氏:ラッカ市内にいます。ただ、非常に危険なので安全確保のため、移動しながら活動しています。

◆ラッカの町の様子は?

アルラッカウィ氏:町は最悪の状況です。市民は食料不足に苦しんでいます。町では食べ物が売られていますが、非 常に高いため市民が買うことはできません。ラッカの一般市民の給料は月に約100~200ドルほどです。しかし、料理に使うプロパンガスだけで7000シ リアポンド(約30ドル)もするため、十分な食料など買うことさえできません。市民には何かを買うお金の余裕がないのです。

町には唯一、お金持ちの人たちが貧しい人たちのために作った、無料で食べられる食堂があります。一日に一度スープが飲め、およそ1000家族が利用 します。もし、ここが閉鎖されたら、それらの人びとは飢え死にするでしょう。一方で、商店(を経営する人)も苦しんでいます。ISは、市内にある商店に毎 月、1500シリアポンド(約7ドル)の税金を課しています。もし商店が税金を支払えなかった場合、3日間の閉店措置、それでも支払えない場合は、長期に 渡って閉店を命じられます。さらに、店主は処罰され、刑務所に送られます。

ラッカ市内の飲食店。ISは商店に毎月1500シリアポンド(約850円)の税金を課している。月給が1、2万円のシリアでは決して安い金額ではない。支払わなければ処罰の対象となる。月給が1、2万円のシリアでは決して安い金額ではない。支払わなければ処罰の対象となる。(IS映像)
ラッカ市内の飲食店。ISは商店に毎月1500シリアポンド(約850円)の税金を課している。月給が1、2万円のシリアでは決して安い金額ではない。支払わなければ処罰の対象となる。月給が1、2万円のシリアでは決して安い金額ではない。支払わなければ処罰の対象となる。(IS映像)

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