かつて日中戦争で戦場となった中国の農村地帯 撮影 吉田敏浩
かつて日中戦争で戦場となった中国の農村地帯 撮影 吉田敏浩

 

◆ 「安保法制」という名の「戦争法制」

自民党・安倍政権は2014年、強引な解釈改憲による集団的自衛権の行使容認を閣議決定しました。すでに、アメリカとの間で軍事機密を共有するために、「知る権利」を侵害する特定秘密保護法も強引に制定しています。

自衛隊が後方支援の名のもと、いつでもどこでも、海外でアメリカ軍など他国軍隊への武器弾薬の提供、発進準備中の戦闘機への給油など、戦闘と一体化 した活動もおこなえるうえに、自衛隊をイラクに派遣したときのイラク特措法などにあった「非戦闘地域」の規定もなくし、状況次第で実際の戦場となる場所で の活動を可能にする安保法制も、今国会で整備しようとしています。

それは歴代の政権が保ってきた「専守防衛」の原則を捨て、要するにアメリカ軍などとともに海外で戦えるための「戦争法制」「派兵法制」にほかなりません。

自民党・安倍政権はゆくゆくは自衛隊を国防軍に変え、憲法九条改定による交戦権の保持も目指しています。

アメリカも日本に集団的自衛権の行使容認を迫ってきました。その狙いは、米日同盟を米英同盟のような共に"血を流す"同盟へと変え、「テロとの戦い」などの名目で、イラク戦争やアフガニスタン戦争のようなアメリカ主導の多国籍軍による武力行使に日本を参加させることです。

日米安保はいまや日米同盟(軍事同盟)として、日本や極東という従来の範囲を超えて変質し、地球的規模に拡大されています。

このように日本がアメリカの世界戦略のもとで、その補完戦力として再び戦争のできる国に変わるおそれが高まっているのです。集団的自衛権の名のもと に、再び日本の兵士が他国の人びとを殺傷する、日本の軍用機が他国の人びとに対して爆弾を落とす、そんな時代がやってきかねません。それは、日本人が再び 戦争の加害者になってしまうことを意味します。

さらに、安倍政権のもとでは、かつての日本の侵略戦争や植民地支配の加害の歴史と戦争責任を否定する国粋主義の風潮も強まっています。それは、侵略戦争の反省のうえに立つ平和憲法を否定する改憲の動きとつながっているのです。
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