R:いやー、こういうことを考えるのかと、ちょっと私はビックリしましたが。
小出:いや、私もビックリというか、本当にこの人たちは何の反省もないし、責任も取る気がないし、まあ責任を取 らなくても済むということが、今度の福島の事故でむしろ分かってしまったのですね。どんなに失敗しても、どんなに他の人に犠牲を負わせても、自分たちは責 任を問われずに済むということが、今度の福島の事故で分かってしまったわけですから、彼らとしては今後もやりたい放題ということになってしまっています。
R:他にも、原発のある自治体に出ている電源立地地域対策交付金ですね。これを、再稼働した自治体へは増やして、停止したままの自治体には減らすという方針を固めたというのですが、これ、今までだってそうではありませんでしたか?
小出:今までもそうです(笑)。要するに、言うことを聞くところにはお金をたくさんやると言ってきたわけです。それに釣られて、自治体はなびいてきてしまったということがあるわけですね。そんなことは政治の世界では長い間、続いてきたわけです。
例えば沖縄もそうですね。「辺野古を認めれば金をやるぞ」と言って、仲井真さん(前沖縄知事)が転んだわけだし、翁長(沖縄県知事)さんがようやく 当選したら、東京に出て来ても誰も政府の要人は会わないというようなことで、対処しようとするわけです。政権の側からはアメとムチを使い分けて、とにかく 自分たちの主張を通そうということだと思います。
R:沖縄に約束した3000億円も、減らすこともあり得るというような発言が出始めていますね。
小出:そうです。
R:そして、また別の委員会なのでしょうか、1月8日に開かれた経済産業省の審議会で、2050年の目標とし て、原発を地球温暖化対策に不可欠だと位置づける事務局長案が示されました。これには委員から、「国民の視点に立ってない」という批判が相次いで、案を作 り直すことになった。こういうこともあるようですが、これは別の委員会ですよね。
小出:恐らくそうだろうと思いますし、委員会はたくさんありますので、委員も様々な人が当然、参画しているわけ ですね。その中で、意見を本当に積極的に言って下さるという人も当然いらっしゃるわけですから、その意見で審議の方向性が少し変わったということはあり得 るだろうと思います。けれども結局、経済産業省の審議会というような所は、私は最後はダメだと、元から思っています。
R:原発事故直後、経産省のことは相当大きく取上げられて、保安院の分離など、ずっと議論されてきたわけですけ れども、小出さんから見て、あれがターニングポイントだった、あそこでもうひと押しできていたら何かが変わっていたかもしれない、というような出来事はあ りましたか?
小出:ありません。
R:ありませんでしたか。
小出:はい。申し訳ないのですけれども、私はこの日本という国家、というか自民党が長い間支配してきた組織で官 僚がずっと育ってきてしまった今の状況では、どのような委員会、どのような審議会をつくったところで、恐らく政治を変えることはできないだろうと思ってい ます。やはり、もし今の政治を変えることができるのであれば、国民一人ひとりがもっと賢くならなければダメだろうなって思います。とても難しいことなので すけれども、原点に戻って私はやりたいと思います。
R:大切なメッセージですね。ありがとうございました。