当時はマスコミも含めて、みんながバラ色の原子力に酔っていた時代だったわけですけれども、女川の人たちは「なぜ電力をたくさん使う仙台ではなく て、自分たちの町に建てるのか」という疑問の声を上げたのです。その声を私は聞いてしまいましたので、その疑問に答えなければいけないと思い、さんざん答 えを探しました。
最後にたどり着いた答えというのが、今になっては当たり前なのですけれども、原子力発電というのは都会では引き受けることができない大きな危険を抱 えている、だから電気の恩恵は受けるけれども危険は過疎地に押し付けるのだ、ということでした。私自身はそんなことは到底認めることができませんでしたの で、それ以降、原子力に抵抗しようと心に決めました。
R:そうですか。脱原発、反原発には様々な立場や主張があるでしょうが、やはり今は本当にそういう人たちが脱原発で一致して反対していくということが大事ですよね。
小出:当然です。私は根本的に政治は大嫌いだということを発言してきましたし、「一切の政治には関わらない」と 言ってきました。ただし、私は嫌いですけど、政治はものすごく大切なものでもあります。当然、経済の問題だって大切だし、社会の問題だって大切だし、それ ぞれの場でそれぞれに個性豊かな方々がご活躍くださっているわけです。原子力を廃絶させるという、そのために皆さんの力を集めなければいけないのだと私は 思います。
R:分かりました。小出さん、やはり保守も革新も一つになったオール沖縄みたいなかたちで、オール脱原発みたいな運動をしていかなければいけないということでしょうね。
小出:そうですね。それができれば一番いいのですけれども。でも、これまでの歴史というのを皆さん背負われているので、今日までそれができないできてしまっていたのだと思います。
R:その現実もあったということですね。
小出:はい。
R:しかし、安倍内閣が再稼働に向けて突き進むなか、私たちは今一度、統一して対抗していきたいなと思っております。小出さん、今日はどうもありがとうございました。
※小出さんの音声をラジオフォーラムでお聞きになれます。