◇家で不法堕胎手術、死亡者まで発生
市場で医療器具が販売されることについて、2013年に脱北したある30代の女性は、ペク・ヒャンの報告を見て次のように述べた。
「家庭での出産のために使われる医療器具は、不法な堕胎手術でもっと多く使われている。『苦難の行軍」(90年代後半の混乱期)を経験したため、女性たち は、育てるのが困難なので子供を産もうとしない。しかし当局は子供の出産を奨励しているので、特別な病気がない限り病院では原則的に堕胎手術をしてくれな い。そのため、こっそりと個人の家で不法な堕胎手術を受けるのだ」
またこの脱北女性は続けて
「不法に堕胎手術を受ける場合、医師の資格を持っていなかったり、器具が消毒すらされていなかったりということもある。堕胎手術を受けた女性が死亡したのを見たことがあった」
と付け加えた。
形だけ残った「無償医療制」の下で、多くの北朝鮮住民がまともな治療を受けられずにいる。にもかかわらず北朝鮮当局はいまだに、社会主義医療・福祉 制度に固執している。本当に民衆の健康と福祉を心配するなら、「無償医療制」の崩壊を認め、現実的で有効な医療制度を立ち上げることが必要だ。