橋下徹市長も大阪維新の会も、大阪市を廃止分割するいわゆる「大阪都構想」のマイナス面とリスクについてはほとんど言及しない。医者が治療法のリスクを患 者に説明するように、「大阪市解体」のリスクを住民に説明したい、そう考える学者による説明会が5日大阪市内で開かれた。その報告の二回目は「二重行政批 判」は間違いという説明を紹介する。(新聞うずみ火 栗原佳子)
◆制度変えたらすべて解決ではない
甲南大学名誉教授の高寄昇三さん(財政学・行政学)も「大阪市を分割し、権限・財源を大阪府に吸収すれば、大阪市民への生活サービスの低下は避けら れない。消防のようなに基幹的サービスがなくなれば災害救助でも大きな支障となる」と警鐘を鳴らす。また、大阪維新の会が「都構想」主張の大きな根拠とす る「府と市の二重行政」についても、「制度を変えたらすべて解決するものというものではない」と一蹴した。
同じく「二重行政」について、関西大学教授の鶴田廣巳さん(財政学)は「『二重行政』を声高に主張するのは、大阪における大規模なインフラ開発の権限と財源を大阪府に集中するためにほかならない」とばっさり。
「いまやるべきは都市内分権。住民が都市の自治に参加できるようなガバナンスの仕組みをつくること。都市の解体によって大阪の再生は決して果たせな い」と述べ、「これだけ注目されているのだから、本来は学会等で『大阪都構想」が取り上げられるべきだが、荒唐無稽過ぎて取り上げられない。そういうもの だと理解してほしい」と付け加えた。
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