5日の学者による「都構想」リスク説明会でマイク握る藤井聡京大教授。撮影栗原佳子
5日の学者による「都構想」リスク説明会でマイク握る藤井聡京大教授。撮影栗原佳子

◆「特別区」は資金繰り難航する

関西学院教授の北山俊哉さん(行政学・地方自治論)は、ミナミの道頓堀に全長800メートルの巨大プールを設けるとした構想になぞらえ「『都構想』も論外」と批判した。
「道頓堀プールは資金繰りや調整が難航して頓挫したが、『都構想』でも特別区は資金繰りに苦しみ、ほかの特別区や一部事務組合、府との調整で難航することは必至」とし、
「胡散臭い医者が手術をさせろ、させろと言っている。命を落とした患者さんもいっぱいいる。市民のみなさんはぜひ中身を理解したうえで決断をしてほしい」
と力を込めた。

◆カジノはテーマパークではなく博打場

都市計画、都市政策の第一人者である京都府立大元学長の広原盛明さんは人口減という大阪市が直面する問題に触れ、
「そこに住み続ける市民、街を愛する市民がいるのが本当のまちづくり。大阪に必要なのは分権型のまちづくりであり、都市計画の権限を市から取り上げ、府に一元化するのは、現在の都市計画の考え方から歴史的に逆行している」と批判。

「都構想の最大の問題は都市のビジョンがないこと。あるとすればお金のことだけ。金銭的都市論では大阪は救われない」
と訴えた。

カジノ問題に詳しい阪南大学教授の桜田照雄さん(経営財務論)は
「都構想」の唯一の経済政策であるカジノ誘致について問題提起した。
「カジノは、テーマパークででもゲームセンターでもない。れっきとした博打場。そこに身を委ねなければならないほど大阪の街は成り下がってしまったのか。

カジノには経済的なメリットはない。人口が減少していく大阪経済をどう立て直していくか、どう住みよいまちをつくるのか。それが問われるときに、カジノが地方自治の経済政策というのは、薄ら寒さを感じる」(続く)
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