玉本英子氏 ジャーナリスト。アジアプレス所属。イラク、シリアなどを20 年取材。
玉本英子氏
ジャーナリスト。アジアプレス所属。イラク、シリアなどを20 年取材。

小林氏も、「(後藤さんが拉致された当時)『イスラム国』では欧米のジャーナリストとかNGOが5人も殺されている。また市民の虐殺が続いている。 多くの国の拘束された人たちがいる。そういう3つの条件を見ただけで、これはヤバいなということ。そして、現場取材でコーディネーターとドライバーが行く なと言ったら私はいかない。彼はなぜ判断を誤ったのか。やっぱり生きて帰ってこなければいけない」と安全の確保に最大の注意を払うべきだと指摘した。

他の登壇者からは、異なる意見も聞かれた。石川氏は、後藤氏の一連の取材に対して「非常に尊敬している」と語った。また、「(1970年代に仲間の ジャーナリストが)カンボジアの解放戦線を撮ると言った時、(カンボジアはベトナムと違って)危ないよと注意したけど、二人は(カンボジアに行って)帰っ てこなかった。私はそれをミスとか無謀とは考えない。信念を持って入っていった」と安全確保ができない危険地帯での取材についても尊重する考えを示した。

そして、「ベトナム戦争では14人の日本人ジャーナリストが亡くなった。最前線まで行くことができたから危険も多い。(ベトナム戦争で従軍取材をし た)我々カメラマンは、現場の危険性をよく知っているから、そこで撮った写真を報道して第三者が見る価値も分かっている」と語った。また、自身も取材場所 に制限を設けなかった結果として、「ベトナムの戦争証跡博物館で私の写真150点が永久保存版(として展示されている)」と語った。
次のページへ ...

★新着記事