大阪市を廃止して五つの特別区にする「特別区設置協定書」、いわゆる「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が17日に迫る中、大阪維新の会代表でもある橋下 徹大阪市長は10日、街頭での演説で、「都になるのは一つのルール」だと「虚偽」と批判されかねない発言をしていた。また大阪維新の会の配布物にも、大阪 市廃止で大阪都になるかのような事実でない記述があった。大阪市大都市局は「都になるものではない」としている。演説現場で取材した。(鈴木祐太)
大阪維新の会は、10日の朝10時から西淀川区の来島第二公園で街頭説明会を始めた。地元の市会議員の演説に続いて、橋下代表がボードを使って「都構想」を説明、聴衆からの質問に対しても、かなりの時間を割いて答えていた。
質問が終わり、演説の締めの部分で橋下代表は、
「湾岸区という名前だから反対する人が多い。湾岸区は英語表記をするとベイエリア。これは世界標準では一等地を意味します。だから、世界から見ると、湾岸区は一番すごいエリアだと思って湾岸区にしました」
と、述べた。
演説が終わった後に、聴衆から質問が飛んだ。
「都にはなれなんいんじゃないの?」
橋下氏は、次のように答えた。
「府と市が合わさると一つの都になるというのが一つのルールなんです。東京も、東京市と東京府が合わさって東京都になったんです」
府と市が合わさると一つの都になる?そんなルールがあるのだろうか?「特別区設置協定書」にも書いていない。大阪市の大都市局戦略担当に電話で確認しみたところ、「大阪都に変わるわけでは今のところない」との回答だった。
また、この日大阪維新の会が配布していた「大阪都構想まるわかりブック保存版」には、あたかも大阪市廃止で大阪都になるかのような記述が見られた。住所が「大阪都△△区――」「大阪都湾岸区――」になるという表現だ。それについても大都市局は
「都になるためには、法律を新しく作らなければいけない」
と回答した。