春の農繁期を迎え、北朝鮮では各種作物の種まきが進行中だが、咸鏡北道、両江道などの北部地域では雨不足が深刻な上、強風によって支障が出ていると、北朝鮮内部の取材協力者が18日伝えてきた。(取材:白香 整理:白昌龍)
北部地域に住むアジアプレス取材協力者は、5月現在の農業の状況について「今、例年にない日照りが続いている上、風までひどく吹いて農場では、種をまくことができない。 耕した畑でも、強風で畝が消えてしまっているほどだ」と困難を電話で伝えて来た。
さらにこの協力者は、「自分が住む地域では、今麦を植えてているのだが、強風のせいで、植えた麦の種が畑の表面に全部表れてしまった状態で、周囲の農場員 たちも『ずっと農業をやってきたが、こんなことは初めてだ』と困り果てている。植えておいた豆やトウモロコシ、麦が、土の上に出て来て乾いてしまったた め、もう一度種まきをやり直している」と伝えた。
生活苦にあえぐ農民たちが種まきをやり直すということは、収穫した食糧を費やすことを意味するわけで、今後、地方の農民の食糧事情にも影響を及ぼすことになるかもしれない。
実際、取材者の住む地域の協同農場員に配給する食糧が不足し始めており、芽を取ったジャガイモの種芋を農場員一人当たり80Kgずつ与えて5月の食糧配給の代わりにしたと、この取材協力者は述べた。
農作業に悪影響を与えているのは悪天候だけではないようだ。取材協力者は、 今年は肥料不足が深刻だとして次のように言う。
「種まきの季節を迎えて、協同農場には尿素肥料が支給されたが、去年に比べて30%しかなかった。それなのに農場員たちは畑に撒かれた肥料を盗んで1キロ当たり中国の金で2元で売って、酒を飲んだり生活費の足しにしたりしている」
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