◆自衛隊の海外派兵に対する民間企業のサポート
このように自衛隊が海外で米軍やその主導下の多国籍軍の「兵站線」を担ったり、戦闘をしたりする事態になった場合、その軍事活動を円滑におこなうために、自衛隊自身にとっても「兵站」が必要となります。
しかし、それを自衛隊だけで充足することはできません。
輸送、装備の修理・整備、通信機器の設置・調整、物資の調達などの面で、幅広い民間企業のサポートが必要になってくるのです。
これまで、自衛隊のイラク派遣やインド洋派遣などでも、様々な業務を民間企業が受注して、自衛隊の活動をサポートしてきました。
自衛隊が装備の修理・整備や物資の輸送などの業務を民間企業に依頼して、契約を結び、企業が従業員に業務命令を通じて出張させるという方式です。
2001年~10年のテロ対策特措法による、海上自衛隊インド洋派遣(米軍艦などへの洋上給油)に際しては、自衛隊艦船の修理・部品交換などのために計25回、のべ77人の企業の技術者がインド洋・アラビア海・ペルシャ湾沿岸の諸国に派遣されました。
2004年~08年のイラク特措法による、航空自衛隊・陸上自衛隊イラク派遣(米軍部隊などの空輸、イラク現地での復興支援)に際しても、輸送機の 整備、通信機器の設置、コンテナスキャナなど特殊装置の整備などのために計14回、のべ39人の企業の技術者がクウェートなどに派遣されました。
それらの事実は、筆者が情報公開法にもとづいて防衛省に対し、自衛隊装備の修理・整備に関する民間企業との契約書や業務実施の報告書など関係文書の開示請求をした結果、明らかになったのです。
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