今月17日、投票年齢を現在の20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が成立、若者の政治参加に期待が高まっている。そ んな中、高齢化がすすむ典型的な地方都市のひとつといわれる長野県伊那市で、市議会議員選挙に立候補した青年を追ったドキュメンタリー映画「イナかのせん きょ」の上映が始まった。選挙から見える日本社会の姿とは。武田倫和監督(35)に話を聞いた。

【「イナかのせんきょ」は全国各地で上映の予定。大阪は6月20日から7月3日まで、シネ・ヌーヴォ(大阪市西区)にて上映。上映スケジュールはシネ・ヌーヴォまで(06-6582-1416)】

ドキュメンタリー映画「イナかのせんきょ」では、高齢化がすすむ典型的な地方都市のひとつといわれる長野県伊那市で、市議会議員選挙に立候補した青年と彼をとりまく人びとに密着した。
ドキュメンタリー映画「イナかのせんきょ」では、高齢化がすすむ典型的な地方都市のひとつといわれる長野県伊那市で、市議会議員選挙に立候補した青年と彼をとりまく人びとに密着した。

 

◆移住者の青年が市会議員候補者に
武田監督:
今回撮影した市会議員候補者の八木択真さん(36)は、もともとは新聞記者でした。6年前、ドキュメンタリー映画「南京・引 き裂かれた記憶」を製作したとき、取材に来てくれたのが知り合うきっかけでした。映画は日中戦争時に起きた南京事件で、現場にいた元日本人兵士たちが加害 行為を告白したものです。八木さんは「これは伝えないと」と奔走してくれたのです。残念ながら記事にはなりませんでしたが、誠実な人柄は心に残り、友人と して付き合うようになりました。

彼は大阪の出身でしたが、いつも大学時代に暮らした長野県伊那市のことを話していました。地方はすべてが疲労しているように感じられ、思うようにま わっていない。伊那で街づくりや政治にも参加したいということでした。彼が動くのは10年ぐらい先のことだろうと私は思っていましたが、思い立ったらすぐ に行動したのです。彼は新聞社を辞め、伊那市へ移住し、志のある街の若者たちがつながる場所をつくりたいと、市内で居酒屋をはじめました。彼の人柄に共感 した私は、カメラ片手に現場へ通い、かれらの「街づくり」を追うことを決めました。

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