「他国の部隊が救援を求めてきたら当然行くべきだ」という意見も聞こえるが、外国の軍隊のあり方を見ると当然ではない」憲法学者で関西大学の高作正博教授は言う。(撮影・樋口元義)
「他国の部隊が救援を求めてきたら当然行くべきだ」という意見も聞こえるが、外国の軍隊のあり方を見ると当然ではない」憲法学者で関西大学の高作正博教授は言う。(撮影・樋口元義)

二つ目は、武力の行使と武器使用という概念をどのように分けるのか。

自衛隊は、武力の行使は憲法で認められていませんが、武器使用はできます。武器の使用に留まるのだから武力の行使にはあたらない、だから憲法違反ではない――という考え方を取ってきたのです。

何を持って武力行使というのか。従来の政府見解によりますと、〈「国家または国家に準ずる組織」に対する「組織的・計画的な戦闘行為」は武力行使に なる〉というのが定義です。つまり、相手が国家、または国家に準ずる組織で、こちらも国家として活動しているということであれば、これは武力行使に当たる という考え方なのです。

この問題では「自己保存型」「武器等防護」「任務遂行型」「駆けつけ警護」のやり方の四つが従来から議論されていました。このうち、基本的に自衛隊ができるとされていたのは「自己保存型」と「武器等防護」の二つでした。

「自己保存型」とは、自衛隊員の個々人が自分の身体を守るため、あるいは自分のそばにいる民間人を守るために行う自然権的な権利であるという考え方 です。「武器等防護」は、自衛隊が自衛隊の持っている武器を守るために武器を使うという考え方で、ぎりぎり合憲だと言われたのは、結局、武器を奪われると 自分の身が危ない。だからこれは「自己保存型の延長」として理解できるという考え方です。

「任務遂行型」については、例外的に二つだけ認められていました。「治安出動」と「海賊対処法」です。治安出動は群集を鎮圧するために武器を使うこ とができるということ。海賊対処法でも武器を持っている海賊を鎮圧するために武器を使っていいというものです。これらが認められてきたのは、相手が国家で はないからです。

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