ダマスカス近郊の東ゴータ地区は自由シリア軍を始めとする反体制派が支配する。2年半前からアサド政権の政府軍の包囲が続く。近郊の町につながる道は政府軍の検問で遮断され、住民は移動ができない。医薬品や燃料が底を尽くなか、市民はどのように生活しているのか。東ゴータ地区在住の20代のカメラマン、ハッサン・アル・ディーン氏は困窮する市民生活などなどを記録し、外国通信社を通して国外へ伝えてきた。ネット回線電話を通じて話を聞いた。【玉本英子2015年2月・4月】

シリア・ダマスカス近郊の東ゴーダ地区は、反体制派が支配する。アサド政権の政府軍が包囲し、地区には燃料も入ってこない。プラスチックを集めてまわり、溶かして燃料を精製する。町工場で精製した燃料を小分けにして路上で販売する。【2015年2月撮影:ハッサン・アル・ディーン】
シリア・ダマスカス近郊の東ゴータ地区は、反体制派が支配する。アサド政権の政府軍が包囲し、地区には燃料も入ってこない。プラスチックを集めてまわり、溶かして燃料を精製する。町工場で精製した燃料を小分けにして路上で販売する。【2015年2月撮影:ハッサン・アル・ディーン】

◆市民の日常生活は?電気や水はどうですか?
ハッサン:
水は井戸から得ていますが、そのままでは飲めません。電気供給はゼロです。そのため、各家庭は自家発電機を回します。

◆発電機の燃料は確保できるのですか?
ハッサン:
市民がプラスチックをかき集めてきて、燃料にしています。そのプラスチックを燃料に変える工場があるのです。もちろん100パーセントの純度の灯油や軽油にはなりません。1リットルで1100シリア・ポンド(約600円)。これが一番、質の良いものの値段になります。値段は日によって変わります。

◆子どもたちは学校には行っているのですか?
ハッサン:
学校は小学校から大学まであります。攻撃(戦闘)があった場合は、休校になります。教科書はアサド政権のものを使いますが、アサド政権についての記述には触れないようにして、アサド大統領の顔写真を取り除いたりしています。問題は高い学年になって、バカロレア(大学入学資格)の段階になっても証書をもらうことができないことです。

地区からあらゆるプラスチックを集めたり、市民が持ち寄るなどして、町工場で廃プラスチックから燃料を精製する。だが純度は低い。【2015年2月撮影:ハッサン・アル・ディーン】
地区からあらゆるプラスチックを集めたり、市民が持ち寄るなどして、町工場で廃プラスチックから燃料を精製する。だが純度は低い。【2015年2月撮影:ハッサン・アル・ディーン】

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