◆「機密事項にふれるので話せない」と企業の担当者は言った

コンテナスキャナは、陸上自衛隊がイラク派遣に際し、その日本企業から2台購入したものです。事実上の戦闘地域だったイラク・サマワでの安全を確保するため、テロ対策の特殊装備として配備したのです。その日本企業はアメリカの製造企業と代理店契約を結んでいました。

定期巡回整備の契約額は1回につき300数十万円から600数十万円で、経費を考えると、「損はしないが、儲かる仕事ではない」といいます。

しかし、「売った商品のメンテナンスなので、メーカー側の義務として定期巡回整備を引き受けた」とのことです。コンテナスキャナそのものが高価なので、ビジネスとしては利益があるといいます。

その日本企業によると、陸上自衛隊がコンテナスキャナを購入(調達)したときに、定期巡回整備の話があり、企業側はクウェートでの整備を条件に引き受けることにしました。

そのとき自衛隊側から、「イラクのサマワで定期巡回整備をしてほしい」という旨の話が出たそうです。しかし、安全が保障されないので、それは断ったといいます。

その企業の担当者は私に、初めは、「自衛隊側から打診があった」と言いましたが、後で、「そういう話題が出た」と言葉を濁しました。自衛隊側が民間企業に危険地帯での業務を求めていた事実が明るみに出ると、差し障りがあると思ったからでしょうか。

いずれにしても、自衛隊側は当初、サマワでの定期巡回整備を望んでいたと考えられます。クウェートまで、4ヵ月ないし6ヵ月に1度、定期整備のために車両でコンテナスキャナを運んでくるのは、手間もかかるし、道中のリスクもあるからでしょう。

筆者がコンテナスキャナの性能や使い方などを詳しく聞こうとしたら、「機密事項にふれるので話せない」と、即座に言われました。
コンテナスキャナは、陸上自衛隊がイラクから撤収するときに日本に運ばれ、陸上自衛隊の或る駐屯地に置かれているといいます。

イラク派遣部隊の帰国後、そこでもコンテナスキャナの整備をしたそうです。しかし、「どこの駐屯地かは言えない」とのことです。
その企業の担当者によると、コンテナスキャナは「次の海外派遣に備えて整備されている」のだといいます。

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