◆「戦争法案」が成立すれば民間人派遣も拡大する

このように、コンテナスキャナはテロ対策器材として機密性が高く、今後の自衛隊海外派遣にも必須の装備なのです。それは、車両搭載対策器材(IEDいわゆる路肩爆弾を妨害電波で起爆させない電子機器)に関しても同様です。

アメリカ製で機密性の高いテロ対策の特殊装備の据え付けや整備に、日本企業とアメリカ企業が技術者を派遣していました。しかも、クウェートの米軍基地の中で一緒に作業していたのです。そこは、イラクで戦闘をする米軍の補給・訓練基地でした。

情報公開された一連の文書から明らかになったように、イラク派遣自衛隊の装備を各企業は修理・整備だけではなく、移設、設置教育、据え付け、調整するなど、幅広い技術支援をおこなっていたのです。

海外に派遣された自衛隊の活動は、こうした企業のサポートなしには成り立ちません。

そんなイラク派遣自衛隊を支えるために、民間企業の技術者がクウェートにある米軍基地内にまで送り込まれていました。

仮に「戦争法案」が成立し、その「戦争法制」が実際に発動された場合、同様の民間人派遣がより規模を拡大し、より戦場に近い危険地帯にまで業務実施場所をひろげて、しかも軍事機密の名のもとに密かにおこなわれることでしょう。

そして、状況しだいで米軍への兵站支援もおこなう「重要影響事態」になれば、場合によっては危険をおかして米軍関連の業務を実施することもありえます。

それは、日本の民間人が自衛隊と米軍への戦争協力体制に、深く組み込まれることを意味します。

テロ対策の特殊装備コンテナスキャナが、「次の海外派遣に備えて自衛隊駐屯地で整備されている」という事実が、今日の状況に暗い影を投げかけてくるようです。 続きを読む>>

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書籍 『検証・法治国家崩壊 ~砂川裁判と日米密約交渉』 (吉田敏浩)

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