◆現実味を増す原発テロの可能性
R:今、審議されている国際平和支援法のように、アメリカ軍を中心に事実上、戦争中の軍隊にも自衛隊が武器を後方支援というかたちで供給するという話が出ていますね。
小出:はい。当然、これまで日本という国は、外国には出て行かないし、基本的には軍隊を持たないという国だったわけです。実際には自衛隊を持っていたけれども、それでも外国には出かけない、実際の戦闘行為には参加しないと言っていたわけです。
けれども、その垣根がどんどん撤廃されてゆき、武器は輸出する、集団的自衛権も認めて戦争に加担していく、ということを表明してしまっているわけで す。そうなれば敵からも攻撃を受けるということは当然のことなのであって、そういう道を歩むのであれば、当然さまざまな可能性を考えておかなければいけな いはずだと、私は思います。
R:やられる側からすれば、ある種のテロを考えるような状況は強まるということを、考えておかなければいけないわけですね。
小出:私は、そもそもそんな道に行くのが間違えているとは思いますけれども、今の安倍さんのような路線を行くなら、きちんと原子力に関しても考えなければいけないと思います。
R:この報告書のシナリオが、怖いことにリアリティを増してきているという感じがしますよね。
小出:そうですね。
今、国会で審議されていることは、日本が他国の戦争に参加することの是非を問うものであるが、戦争に加担すれば当然、攻撃を受ける対象にもなりえ、 その際に標的となるのは、米軍や自衛隊の基地、東京の首都機能だけでなく、破壊すれば日本を壊滅できる原子力発電所であると考えるのが自然だ。本来なら ば、戦争に加担する是非を議論する前に、こうした施設の防御態勢をまず明らかにするべきではないだろうか。
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