◆二つの地震の巣に挟まれた原発
R:伊方原発の近くには大きな活断層があり、南海トラフ地震の被害を受ける可能性があるということも言われていますが、どうでしょうか。
小出:昔、小松左京さんが『日本沈没』という小説を書いたことがあるのですが、あの小説では日本最大の活断層で ある中央構造線、つまり、中部地方から関西、さらには四国を横断して、九州まで伸びていくという巨大な活断層のことが描かれています。『日本沈没』では、 巨大な中央構造線の活断層が割れて、日本が太平洋に滑り落ちていくということを書いた小説だったのです。伊方原子力発電所の敷地の前面に、その日本最大の 活断層である中央構造線が走っているのです。もし、それが動くようなことになれば、おそらく壊滅的な被害を受けるだろうと思います。
伊方の場合にはそれだけでは済みません。「日本でこれから巨大な地震が起きる」と世界中の地震学者が言っています。東海地震、東南海地震、南海地震 と呼ばれているような中部地方から関西、四国、九州に伸びてくような地域に、やはり巨大な地震の巣がありまして、そこで、近い将来必ず大きな地震が起きる と言っているわけです。伊方原子力発電所というのは、すぐ北に中央構造線、南に南海トラフというように、南北から大地震の危機に挟まれた形で存在していま す。
R:伊方原発だけの話ではありませんが、非常に危ない場所にあるということですね。先日、川内原発が再稼働され、いよいよ伊方、高浜と本格的に再稼働に向けての準備が進んでいますが、どのようにご覧になっていますか?
小出:あまりにも愚かな選択だなと、私は思います。原子力発電所の大きな事故など決して起きないと言ってきた人 たちが、事実として事故が起きているのに、未だに目を覚ますことができない。本当に、この国の指導者たち、あるいは経済界の首脳たちは、どういう人たちが やっているのかなあと、私は大変残念だし情けなく思います。
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