鉄道労働者に対しては、この10年間食糧配給も出たりでなかったりという状態が続いている。では、どうやって暮らしているのか?
「他の企業所と同じく別の商売に出て稼ぐのが基本だったのだが、その商売も金正恩時代になっての3年間で統制が厳しくなってうまくできなくなり、生活は本当にしんどくなった」
と、この労働者は語った。
北朝鮮では男は企業所に縛り付けられており、鉄道でも商売のために数日欠勤すると酷い叱責を受け、場合によっては短期の強制労働キャンプである鍛錬隊に送られることになる。この鉄道員は妻が商売に出ているが、あまりうまくいっていないという。
「鉄道の職場は、電鉄隊、機関車隊、乗務隊、奉仕隊、客貨車隊などの部門別に分かれている。乗客から賄賂を取れる部署は、現金収入があってなんとか食べているが、保線の職場はなんの実入りもなく辛い」
と、取材した鉄道員は述べた。
北朝鮮ではしばしば「鉄道は国家の大動脈」だとして、その正常化がスローガンに現れる。電力難のために運行がでたらめになって久しいが、今年2月ご ろから一部でディーゼル機関車が導入されて正常運行する路線が現れた。ただし運賃は通常の50倍以上で、実勢レートでは中国並みの料金だ。
ディーゼル機関車が牽引する列車に限ってのことであるが、鉄道という企業の運営に市場経済的要素が導入される兆候かと注目された。しかし、働く労働者の待遇については、国定給与のままで何の変化も見られないようである。(ペク・ヒャン)
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