第三章 雑則
(物品の譲渡及び無償貸付け)
第十二条 防衛大臣又はその委任を受けた者は、協力支援活動の実施に当たって、自衛隊に属する物品(武器を除く。)につき、協力支援活動の対象となる諸外 国の軍隊等から第三条第一項第一号に規定する活動(以下「事態対処活動」という。)の用に供するため当該物品の譲渡又は無償貸付けを求める旨の申出があっ た場合において、当該事態対処活動の円滑な実施に必要であると認めるときは、その所掌事務に支障を生じない限度において、当該申出に係る物品を当該諸外国 の軍隊等に対し無償若しくは時価よりも低い対価で譲渡し、又は無償で貸し付けることができる。
(国以外の者による協力等)
第十三条 防衛大臣は、前章の規定による措置のみによっては対応措置を十分に実施することができないと認めるときは、関係行政機関の長の協力を得て、物品の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供について国以外の者に協力を依頼することができる。
2 政府は、前項の規定により協力を依頼された国以外の者に対し適正な対価を支払うとともに、その者が当該協力により損失を受けた場合には、その損失に関し、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(請求権の放棄)
第十四条 政府は、自衛隊が協力支援活動又は捜索救助活動(以下この条において「協力支援活動等」という。)を実施するに際して、諸外国の軍隊等の属する 外国から、当該諸外国の軍隊等の行う事態対処活動又は協力支援活動等に起因する損害についての請求権を相互に放棄することを約することを求められた場合に おいて、これに応じることが相互の連携を確保しながらそれぞれの活動を円滑に実施する上で必要と認めるときは、事態対処活動に起因する損害についての当該 外国及びその要員に対する我が国の請求権を放棄することを約することができる。
(政令への委任)
第十五条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
附則
この法律は、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第 号)の施行の日から施行する。
別表第一(第三条関係)
種類 内容
補給 給水、給油、食事の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
輸送 人員及び物品の輸送、輸送用資材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
修理及び整備 修理及び整備、修理及び整備用機器並びに部品及び構成品の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
医療 傷病者に対する医療、衛生機具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
通信 通信設備の利用、通信機器の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
空港及び港湾業務 航空機の離発着及び船舶の出入港に対する支援、積卸作業並びにこれらに類する物品及び役務の提供
基地業務 廃棄物の収集及び処理、給電並びにこれらに類する物品及び役務の提供
宿泊 宿泊設備の利用、寝具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
保管 倉庫における一時保管、保管容器の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
施設の利用 土地又は建物の一時的な利用並びにこれらに類する物品及び役務の提供
訓練業務 訓練に必要な指導員の派遣、訓練用器材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
建設 建築物の建設、建設機械及び建設資材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
備考 物品の提供には、武器の提供を含まないものとする。
別表第二(第三条関係)
種類 内容
補給 給水、給油、食事の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
輸送 人員及び物品の輸送、輸送用資材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
修理及び整備 修理及び整備、修理及び整備用機器並びに部品及び構成品の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
医療 傷病者に対する医療、衛生機具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
通信 通信設備の利用、通信機器の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
宿泊 宿泊設備の利用、寝具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
消毒 消毒、消毒機具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
備考 物品の提供には、武器の提供を含まないものとする
理由vs 国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が 国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるものに際し、当該活動を行う諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等を行うことにより、国 際社会の平和及び安全の確保に資することができるようにする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。