映像には漁網を編む12歳と14歳の少女がにこやかに質問に答えている場面があった。彼女たちは「1日に1100~1300ウォン稼ぐ」と答えている。この賃金は、当時の実勢レートで50円ほど。出来高払いで日当制ではない。市場で白米なら1・5キロ、トウモロコシなら3キロが買える額だ。
ちなみにこの時の中学校教員の月給が約2000~3000ウォン、国営炭鉱の労働者の月給が最高の重労働職場で1万から15000ウォンほどであった。女子中学生が闇の労働市場に進出して、それらの何倍もの現金収入を得ているというわけだ。
◇技術労働の市場も拡がる
電気工やタイル工、家具職人などの技術労働力にも市場がある。
「技術のある人が欲しい場合は、市場の売り場で仲介を頼む。例えば、変圧器の修理仕事なら電気製品売り場に行けば、商売人たちは人脈があるのですぐ連れてきてくれる。
台所にタイルを張りたい場合は内装用品売り場、ドアを付け替えたい場合は家具売り場に行って商売人に依頼する。公の場所で昼間に仕事をさせると、『職場に行かず何をしているのか』と保安員(警察官)が取り締まりに来ることがあるが、彼らも賄賂が欲しいだけなので、さして問題になることはない。
それでも、私的な用事で人を使う場合は、できるだけ休日や夜間にすることが多い」
カン・ジウォンは清津市のケースをこう述べる。
その他、理髪、各種塗装、自転車修理などの技術を持っている人が、街頭で労働の対価を客から直接得る光景もありふれたものになっている。
また医師は、病院外で診察したり、簡単な手術(女性の二重瞼手術、堕胎など)をしたりして現金収入を得ている。砂金採り、アイスキャンデーの製造販売もよく見られる自由労働者だ。(続く)
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