国による配給システムが麻痺してしまった北朝鮮で、住民たちの暮らしを具体的にのぞき見できるのは、市場の物価だろう。かなり以前から北朝鮮当局は基礎食 料品の生産と流通に対する統制力を失い、市場の需要と供給によって価格が決定されるようになった。 8月末、北部の咸鏡北道茂山(ムサン)郡に居住する取材協力者が、市場価格を調査し報告してきた(整理ペク・チャンリョン)
この協力者によると、8月末現在、外貨の実勢交換レートは、1中国元=1200ウォン(約19円)、1米ドル=8200ウォン(約120円)だった。
8月時点の、茂山郡の市場の代表的な食料品価格を記す。今年5月に両江道の恵山(ヘサン)に住む内部協力者が送ってきた食品価格を比較して提示する。
両地域は中国に接する国境都市だという特徴がある。
食品名 (1Kg) | 咸鏡北道茂山郡 (8月末) | 両江道恵山市(5月中旬) |
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米 | 5,600ウォン | 5,040ウォン |
トウモロコシ | 1,800ウォン | 2,400ウォン |
塩 | 1,100ウォン | 1,000ウォン |
油 | 13,000ウォン | 10,200ウォン |
豚肉 | 18,000ウォン | 12,000ウォン |
ダイコン、白菜 | 1,200ウォン | |
トウガラシ粉 | 24,000ウォン |
※参考 7月末当時、調査した北朝鮮鉄道労働者の月給は、一番下の2級の場合は1,080ウォンで、最上級の7級は1,900ウォンほどだ。
今年の春と8月を比較してみると、、収穫期に入ったトウモロコシが20%以上下落した他は、10%程度上昇している。
北朝鮮の中南部地域とは違って、北部の国境地域は稲作が少なく、住民の多数がトウモロコシを主食にし、そこに白米を少し混ぜるやり方で食事を解決している。 トウモロコシ価格の下落で、当面、北部地域の住民たちの食糧事情は落ち着きを見せるだろう。