北朝鮮が10月10日の朝鮮労働党創建日を目前に控え、党の偉大性、人民性の宣伝を繰り返している。9月16日付の労働新聞は「朝鮮労働党よ、あな たは偉大なる母!」という記事に、民衆に忠実に仕えてきたという労働党の歴史と、金正恩氏及び父親である金正日氏の徳望について、逸話を交えた長文の記事 を掲載した。 (ペク・チャンリョン)
記事では、前半で金正日氏の次のような逸話を紹介している。
ある年の2月15日にあったことであったいう。翌日(16日)が金正日氏の誕生日なので、幹部たちがお誕生日の祝い膳を作ろうとしたが、本人は「普 段通りに」と断った。誕生日が過ぎた17日、幹部たちに会った金正日氏は、(昨日)家に帰ると家でも誕生日祝い膳の心配をしていたので、次のように話した という。
「家族だけで囲む食卓だから特別に準備をすることはない。ご飯だけでいい」
金正日氏はそう言って、合宿生(集団生活する労働者たちのこと)が食べるご飯を持ってこさせて誕生日を過ごした、という逸話だ。
二つ目の逸話では、金正日氏が労働党入党を望んでいた日本人女性の望みを察し、彼女の願いを叶えてあげて、誕生日祝いも送ったという徳望を長々と紹介した。この日本人女性に関しては「日本でも名が知られている富裕な家庭の娘だった」と、記事では短く紹介されている。
また金正恩氏の仁徳を紹介する逸話にも日本人女性が登場する。ある帰化した日本人女性が金正恩氏に書いた手紙に、金正恩氏が直筆返信したことを紹介している。
咸鏡南道の栄光郡に住むこの日本人女性が、罪を犯し3年間の法的処罰を受けた長男が労働党に入党できたことについて、金正恩氏に謝意を表した。金正恩氏は、それに対し2012年12月26日付で、次のような返事を書いたという。
「わが党は心が傷ついた人たちをもっと深く抱擁し、応援する」、「子供の痛みを誰よりも心配し慰め、肉も血も躊躇なく与えるのが母親です。だから、我が党を『母』と称するのです」
「母なる党」という朝鮮労働党のイメージ宣伝と金正恩氏の「人民への愛」を浮き彫りにするのが意図だろう。だが異例なのは、党の宣伝の記事で日本人 女性を何人登場させていることだ。この度の記事では、逸話の半分以上が日本人女性に関することだ。これは、拉致問題について協議中の日本に対する、金正恩 政権の融和姿勢を示すものだと思われる。
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