金正恩政権は、10月10日の朝鮮労働党創建70周年記念日に軍事パレードを実施、外国メディア多数を招待して、イベントの盛大さを宣伝することに余念が なかった。ところで北朝鮮の地方都市の住民は、この70周年記念日をどのように迎えたのだろうか? 北部地域に住む取材協力者に聞いた。(カン・ジウォン)
この協力者はアジアプレスとの通話で
「10月10日に合わせて祝日の特別食糧配給を 2日分を与えると言われていたが、それも出なかった。農場では特別配給はなく、商店で国定価格で食用油を一瓶ずつ購入できたそうだ。私の住む地域の住民た ちは『党創建70年なので大型の配給や配慮を期待していたが、以前と全く同じだ』と言って不満が多い。
『評判の宴ほど食う物なし』という言葉があるが、今年初めから党創建記念日を盛大にやると大宣伝していたけれど、私たちには何のおこぼれもない。今は、なんとか稼いで食っていくことで精一杯。配給はまったく当てにしていない」と失望を露わにした。
一方、党創建日が近づくにつれ、住民たちに対する統制が強化されたという。この取材協力者は
「党創建記念日に合わせて、ある工場では10日の一日だけ休んだ。祝日の雰囲気なんてない。それどころか、(10日までの間は)特別警備週間になって、道 路には保安員(警察)、保衛員(秘密警察)らがあちこちに立ち、行き来する住民の荷物まで検査していた。取り締まりの者たちは、とにかく自分たちの『祝日 準備』をしようと、住民たちの持ち物を取り上げる工夫しかしないから、怖くて外にも出られない。早く10月10日が過ぎ去ってほしいと思っていた」
と心情を吐露した。
※アジアプレスでは、中国の携帯電話を北朝鮮国内に投入して内部事情を取材している。
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