10月6日付の労働新聞は、労働党創建70周年を迎え「全国の女性たちの熱い愛国の心の込めた放射砲が人民軍隊に贈呈された」との記事を掲載した。「女盟 号」と命名されたこの放射砲(多連装ロケット砲)は、人民軍の強化に資すべしという「一念」を持った女盟幹部らと女盟員らの「良い事をする運動」によって 成し遂げられた、と同紙は紹介した。収入のない専業主婦らが、いったいどのようにして「ロケット砲」まで準備したのかを見てみよう。(ペク・チャンリョ ン)

女盟員らが贈呈した放射砲が「祖国解放戦争」(朝鮮戦争)勝利記念塔の前を通っている。(2015年10月6日、労働新聞より引用)
女盟員らが贈呈した放射砲が「祖国解放戦争」(朝鮮戦争)勝利記念塔の前を通っている。(2015年10月6日、労働新聞より引用)

 

※女盟: 朝鮮民主女性同盟の略。主に職場を持たない家庭の主婦らを加入対象とした労働党の傘下団体。

労働新聞が言及した「良い事をする運動」とは、本来、北朝鮮の小、中学生を対象にした「労働動員運動」から始まった。初期の「くず鉄収集運動」か ら、80年代に入って以降はウサギ飼育、外貨稼ぎ、戦車献納運動など、段階的に拡がっていき、現在は全住民を対象とした労働動員と当局による外貨確保運動 に変遷した。

北朝鮮では、各組織別、世帯別に週・月単位で、くず鉄収集や外貨稼ぎのノルマが当局から絶えずに下達される。結果については総括会議が開かれで、割 当量の完遂を強要される。 労働新聞が言及した「女盟号」という名の放射ロケット砲も、北朝鮮の組織活動の仕組みから考えると、このような「くず鉄収集運動」やその他「資金収集運 動」によって準備されたものと考えられる。

2012年にも「第4回全国母親大会」に合わせて女盟員らが用意した「女盟号」放射ロケット砲の寄贈式が咸興(ハムフン)で行われたが、当時この 「寄贈式」準備のため、多量のくず鉄収集ノルマが女盟に課され、住民たちの不満が大きかったと北朝鮮内部協力者は言う。2005年にも女盟創立記念日に合 わせて、女盟員らが集めたくず鉄で作ったという「女盟号」戦車20台が軍に寄贈された。
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