ロシア軍は2015年9月30日からシリアでの空爆を続けている。武装組織イスラム国(IS)の軍事拠点を攻撃していると伝えられるが、実際はIS以外の反政府組織 の支配地域にも着弾し、住民にも被害が出ているという。アレッポ北西部 ラシード地区で活動する市民記者、アハメット・アルバブ氏(27)にネット回線で 話を聞いた。【アルビル・玉本英子】
◆ロシア軍の空爆はどういう状況ですか?
アハメット氏:ロシア軍はIS拠点を狙っているとしているそうですが、実際は違います。アレッポでは(反体制派の)自 由シリア軍支配地域も攻撃されています。数日前も地区の住宅街に爆弾が落ち住民が死傷しています。ここには普通の人びとが暮らしていますが、住宅地の向い 側に自由シリア軍の兵士たちがいたため、そこを狙ったと思われます。
私たちは長い間、アサド政権のシリア政府軍から様々な攻撃を受けてきました。そのため、爆発音などから、今までとは違うロシア軍だと分かるのです。 アサド政権軍は無差別に空爆することもありましたが、ロシア軍は確実に上空から狙ってきているように思えます。市民は恐怖に怯えています。そしてなぜ、外 国軍に空爆されないといけないのか、怒りを感じています。
◆アレッポのISの動きはどうなっているのですか?
アハメット氏:ここから50キロほど先のアルバーブの町一帯は現在ISが支配しています。私はアルバーブの出身でした が、逃げざるを得ませんでした。町を制圧されたとき、多くの市民が他の地区へ避難しました。アレッポにはISの考えに共鳴するような人はほとんどいないの です。他の宗教、民族が普通に共存してきた町です。
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