武装組織イスラム国(IS)は11月14日、フランス・パリでの同時多発襲撃事件に関する声明を発表した。通常のISの武装攻撃の声明と同様の形で公表されており、ISが襲撃事件に関係したことを認めたものと見られる。
声明はアラビア語、フランス語のほか英語やロシア語でも出されている。以下は声明全文。英語版からの訳出。(一部意訳しています)【アジアプレス編集部】
【訳注1】祝福されし猛攻撃戦: 声明タイトルの「祝福されし猛攻撃戦」は「アッラーからの祝福・称讃」を意味する。
【訳注2】十字軍: この声明で使われる十字軍とは、「ISに敵対するキリスト教諸国やその同盟国」を意味する。ISの規定では、日本もこの十字軍の同盟国ということになる。
【訳注3】 カリフ国: カリフとはもともと預言者ムハンマド亡きあとのイスラム共同体(ウンマ)、またはイスラム国家における最高権威、指導者の称号。ISは、指導者バグダディ師を「カリフ」などとし、シャリーア(イスラム法)に統治されるスンニ派イスラム国家の建設を掲げている。とくにバグダディ師が公然と姿を現した2014年以降は、「カリフ国」(カリーファまたはヒラーファ)という表現が目立って使われるようになっている。
【ISが公表した声明】 11月14日、ISがウェブ上に公表したパリでの同時多発襲撃に関する声明。アラビア語、フランス語のほか英語やロシア語、ドイツ語でも出されており、事件を広くアピールする狙いがあると思われる。このロゴを入れたデザインで出される声明のほとんどが戦闘関連の「速報」で、戦報または軍事声明として扱われている。
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