全国20の政令指定都市のうちトップの財政状況にあるにもかかわらず、権限の小さな特別区に「成り下がる」。維新側は毎年4000億円の財政効果をうたうが、反対派の試算では1億円。投票率に関係なく、1票でも賛成が多ければ大阪市は消滅する......。
「究極」の選択を迫った住民投票。自民から公明、民主、共産までが反対の立場で連携した。「呉越同舟」などといいながら自共が合同で演説会を開き、 市議らが互いの宣伝カーの上でマイクを握る一幕まであった。それだけ無茶苦茶な構想で、しかも力を合わせなければ太刀打ちできない相手だったことを示して いる。
住民投票の終盤、微妙な空気の変化を感じたのだろう、橋下氏は街頭演説で「反対多数なら政界を引退する」と宣言。維新は「橋下徹という政治家を殺さないで」と泣き落としで危機感を煽った。
結果は敗北。その結果を受けた記者会見で橋下氏は「受け入れられなかったということは大阪都構想が間違っていたということ」などと発言したうえで政 治家を辞めると明言した。新聞もテレビもその姿を「潔し」として報道した。橋下氏が仕掛けた出直し市長選は6億円近く、住民投票には少なくとも11億円の 公金が投入されたにもかかわらずだ。つづく
【栗原佳子/新聞うずみ火】
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