大阪市の橋下徹市長の特別秘書・奥下剛光氏が、大阪府知事、市長のダブル選挙公示直前から、また休職していることが、大阪市人事室への問い合わせで分かった。奥下氏が休職するのは6回目で、すべて橋下氏と関わる選挙期間に合致する。(石丸次郎)

奥下秘書問題に関する質問に 「問題ない」と答える橋下大阪市長 2013年 3月11日撮影リ・シネ
奥下秘書問題に関する質問に 「問題ない」と答える橋下大阪市長 2013年 3月11日撮影リ・シネ

 

休職繰り返しても2087万円の報酬
市人事室によると、奥下氏が休職扱いになっているのは、知事選告示前の10月24日から投票日の11月22日まで。今年に入ってからは、「大阪都構想」住民投票の直前2カ月間休職していた。

政治資金の監視と調査をしている非政府組織(NGO)の「政治資金オンブズマン」の谷真介弁護士は、奥下特別秘書に支給した金額の明細について大阪市に情報公開請求した。

市の回答によると、奥下氏の報酬は、給与1372万8050円、地域手当137万2795円、さらにボーナス471万7758円と退職金105万 8585円で、その合計は2087万7188円に及ぶことがわかっている(退職は2014年3月の橋下氏の「出直し市長選」の直前)。

総額2087万円に及ぶ橋下市長の特別秘書奥下氏の報酬一覧。大阪市が開示した。
総額2087万円に及ぶ橋下市長の特別秘書奥下氏の報酬一覧。大阪市が開示した。

 

奥下氏は橋下市長の後援会長奥下素子氏の息子で、「情実採用」だと指摘が絶えない。また、選挙期間に休職しながら、公務実態を示す文書がなかったこ とから、2013年5月には市民から給与の支払い停止と報酬返還を求めて訴訟を起こされ、「まるで公費を使った私設秘書」と批判されている。

谷真介弁護士は、「奥下特別秘書が大阪市民の税金を使って、大阪市の仕事ではなく、維新の会の仕事をしていたとみなされても仕方がない」と痛烈に批判している。
「政治資金オンブズマン」の調査によると、奥下氏の過去5回の休職の詳細は次の通りだ。

2012年11月16日~同年12月16日まで休職(第46回衆議院選挙期間にあたる時期)

2013年6月21日~同年7月21日まで休職(第23回参議院選挙期間にあたる時期)

2013年8月1日~同年9月30日まで休職(堺市長選の直前2カ月)

2014年11月21日~同年12月14日まで休職(第47回衆議院選挙期間にあたる時期)

2015年3月19日~同年5月17日まで休職(大阪都構想住民投票の直前2カ月)

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