紛争で社会が疲弊している時、彼らに保護を与えるのが軍隊だけであることも少なくない(28)。モザンビークでは、子ども兵として入隊している方が、よりよい状況にあったとする研究さえある(29)。

子ども兵は多様な仕事に従事する。戦闘任務にも就くが、多くは偵察や荷物運搬、密輸、調理、掃除、通信連絡、情報収集などに従事している。少女は、食事の準備や傷の手当てなど兵士らの身の回りの世話をさせられ、しばしば大人の上官の「妻」となることを強要される。

銃を持って戦闘に加わる危険は言うまでもないが、基地が襲撃されることもあり、他の子どもも危険な状態におかれる。子どもたちは、成長に必要な食料と睡眠が十分に確保されることも、教育や医療・保健サービスを受けることも望むべくもない。
倫理欠如から時に大人より残虐に
逃げだそうとして失敗した子どもが殺されるのを見ること、さらには、その子を「殺さなければ、おまえを殺す」と殺人を強制されることも珍しくない。家族や 共同体とのつながりを断ち切るためや、凶暴性をもたせるために、子どもたちは自分の出身の村で残虐な行為を強要されることもある。

社会的・倫理的観念が確立される前に暴力を強要されること、また、しばしばアルコールや麻薬を使って異常な精神状態にされることなどから、子どもは 大人よりも残虐になりうる。子ども兵は、罪のない民間人の腕を切り落とし、強かんし、殺し、略奪し、放火し、畑を荒らし、井戸に毒を盛り、大量殺戮にも加 わる(30)。

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