深刻な少女の性被害、性搾取
元子ども兵だった少女たちは、さらなる苦難に直面する。元兵士が社会に復帰することを支援するプログラムでは、治安の回復を主たる目的としている場合が多く、女子はほとんど対象とならない(34)。
一般の住民からも、同じ元子ども兵であっても、少女には厳しい目が向けられる。兵士として身についてしまった乱暴な言動は、男性の場合は許されても、女性の場合は受け入れられにくい。
わけても深刻な問題となるのは、少女が、性的な搾取・虐待を受けていた場合である。彼女たちは、性的に厳しい規範のある社会では、「汚れた」存在として卑しまれる。上官の「夫」から遺棄された少女は、子どもを連れている場合が少なくない(35)。
面倒をみてくれる家族やコミュニティーがない場合、彼女らは、自活していかねばならないが、子どもをそばにおいて働くことを強いられる(36)。
※本稿の初出は2014年6月発行の「京女法学」第6号に収録された、市川ひろみさんの論考『冷戦後の戦争と子どもの犠牲』です。