国連子どもの権利委員会への2008年の報告によると、2002年以来、米国はイラクで2400人、アフガニスタンで100人の子どもを拘束してきた。ア フガニスタンでは800人、2008年5月にキューバの米軍グアンタナモ基地に設けられた収容所には21人が収容されていたとする報告もある(53)。
バグダットにあるアブグレイブ刑務所では、子どもに対しても、親に会わせず、教育を剥奪した。さらに、独房での監禁、強かん、犬を使っての威嚇や教 育の剥奪、苦痛を伴う姿勢での拘束という方法が採られた。17歳の少女に対する性的虐待(54)や親に証言させるための手段として、子どもを虐待すること さえ行われた(55)。
アフガニスタンやイラクの子どもたちを殺傷した米軍兵士の中には、「まだほんの子ども(56)」の若者が含まれていたことも想起しておきたい。派遣される米軍兵士には、18歳になったばかりの若者も決して少なくない。
彼らの多くは、ファストフード店での低賃金労働やトレーラーハウスでの生活から脱することを夢見て、米軍に入隊することを「志願」した子どもだっ た。2003年4月にイラクで戦死した18歳の若者は、重量挙げのグローブがほしくて海兵隊に資料請求し、2001年6月に入隊していた。(続く)
※本稿の初出は2014年6月発行の「京女法学」第6号に収録された、市川ひろみさんの論考『冷戦後の戦争と子どもの犠牲』です。