韓国入りした脱北者は累計約3万人。政府から手厚い定着支援を受ける。日本には支援制度がなく、言葉、仕事、進学、子育てなど、様々な壁にぶつかるが、ボランティアの助けが頼りだ。
北朝鮮に帰国した人は、在日朝鮮人人口の実に6.5人に一人に及んだ。在日組織と日本社会がこぞって背中を押して帰国船に乗せたのであるから、在日コリアンと日本人が協力して支える仕組みが作れないものだろうか。
今年初め、大阪東部のある病院で、若い脱北者夫婦の間に男の子が誕生した。植民地時代に曾祖父母が朝鮮から渡日してから四代目。一族の流浪はまだ終わっていない。日本は、この男の子の安住の地になるだろうか?
彼が時代と政治に翻弄されることなく、穏やかな生を送らんことを願う。(文中仮名)
※2015年10月20日毎日新聞大阪版に掲載された記事に加筆修正したものです。
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