福島第一原子力発電所の廃炉作業が少しずつ進んでいる。8月には3号機において、懸案だった燃料取扱機の引き上げが終了した。東京電力は「大きな一歩だ」 と胸を張るが、今後の廃炉作業の見通しも含め、これらの問題について元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム)
ラジオフォーラム(以下R):3号機の使用済み核燃料プールに落ちて、廃炉作業の妨げになっていた燃料取扱機(交換機)が、8月に大型クレーンで引き上げられて撤去されました。東京電力は「大きな一歩だ」と言っていますが、この燃料交換機の引き上げ作業とはどういうものなのでしょうか。
小出:使用済み燃料というのはとても危険な物です。それを取り扱ったり、交換したりするときには、特殊な燃料交換機というものが必要になるし、福島第一原子力発電所3号機にも、当然その交換機があったのです。
R:クレーンのようなものを想像したらいいですか。
小出:はい。使用済み核燃料をその胴体の中に抱え込んで移動させるという装置です。プールの底から釣り上げたりしなければいけませんので、当然クレーンもあるのですが、放射線の遮へいもしなければいけないという非常に特殊な装置なのです。
重さが20トンを超える巨大な装置だったのですが、それが2011年3月14日午前11時に 3号機が爆発したとき、もうボロボロに壊れてしまい、プールの中に落っこちてしまっていたのです。それをとにかく引き上げないことには、プールの底に眠っ ている使用済みの燃料をつかみ出すこともできませんので、「何とかどけたい」と東京電力が苦闘してきたわけです。
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