R:廃炉作業に立ちはだかる大きな障壁が、これで取り除かれたわけですね。
小出:ただし3号機というのは、皆さんご記憶かもしれませんが、非常に巨大な爆発が起きてしまったため、使用済 み燃料プールが埋め込まれているフロアはもうボロボロに破壊されてしまっているし、放射性物質でベタベタに汚れてしまっているのです。ですから、人間が近 づいてゆっくり作業するというようなこともできませんので、プールの底に落ちていた物は今回の燃料交換機も含めて、遠隔操作の重機を使って取り出さなけれ ばいけないという大変な作業だったのです。
たくさんのがれきが崩れ落ちていたわけですけれども、とりあえず燃料交換機、巨大な物は今回どけたということで、大きな一歩と言えば確かにそうだと は思いますけれども、まだまだこれから先に多くの困難が待ち構えているという状態です。これから他のがれきも撤去しなければいけませんし、環境の除染も必 要です。今ベタベタに汚れている汚染を少しでも減らさない限りは、プールの底に眠っている使用済みの燃料を引き上げることができないという状態なのです。
R:具体的には今後、どのような作業が必要になるのでしょう。
小出:壊れてしまった燃料交換機を新たに据え付けなければいけませんし、燃料を移動するためのキャスクという、重さが100トンにも及ぶような物も また移動させなければいけないので、大型のクレーンも設置しなければいけない。そんなことをやろうと思えば、頑丈な建物をまた改めて造らなければいけない というような作業がずっと続くわけです。
東京電力の予定では、使用済み燃料を取り出す作業に入れるのは2018年になってからだということで、まだ2年も3年も先になるだろうと東京電力自 身が言っているわけです。恐らくそんなに早くできないだろうと私は思いますし、その間にも当然、被曝作業が続いて、さまざまなトラブルも出てくるのだろう なと思います。
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※「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ