誰が「橋下徹」をつくったか

「誰が『橋下徹』をつくったか」
「誰が『橋下徹』をつくったか」

最後になったが、ぜひ読んでいただきたい本を紹介したい。ジャーナリスト松本創さんの「誰が『橋下徹』をつくったか -大阪都構想とメディアの迷走」(140b)。

あらためて言うまでもないが、橋下氏はメディアの中で、そしてメディアを相手に物議を醸し続けることで、自分が取り上げられるトピックスを作り「賞 味期限」を延ばすことに成功し、「鮮度」を何度も回復させた。その功も罪もメディア、とりわけテレビにある。「橋下氏の出身母体は在阪テレビ」と揶揄され て来た。松本さんの著書は、その実態を確かな取材で見事に描いている。

「橋下徹という政治家は、現代のメディアと大衆が生んだ『必然』であった。決して大阪の8年間だけで終わる話ではない。仮に、橋下がほんとうに政治 の表舞台から去ったとしても、その土壌は分厚い層となってこの社会を覆ったままだ。メディアが自らの行ってきた報道を掘り起こし、検証し、ジャーナリズム の精神を取り戻さなければ、『橋下的なるもの』は何度でも生まれてくるだろう」
(同書245頁)

私たち報道に携わる者は胸に手を当てて考えなければならない。「どうやって『橋下徹』が出来上がったのか」を。

「橋下維新」によってえぐられた報道の傷は、じっとしていては治癒しない。政治権力の言論介入を監視、牽制するために、市民もメディアも小うるさいぐらいに声をあげていかないとやばい。

放送法第3条を記して、筆をおきたいと思う。
「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」

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