北朝鮮のどの街の市場に行っても、コメや農産物は大量に売られている。一方、政府は穀物を確保できず、食糧配給をできないまま20年が過ぎた。今の北朝鮮では、市場に行けばいつでも、いくらでもコメを買うことができる。

農村から買い出してきた食糧を自転車に載せて運ぶ男性。労多くして実入り少ない仕事であるため都市貧民が多い。2010年10月平安南道 キム・ドンチョル撮影
農村から買い出してきた食糧を自転車に載せて運ぶ男性。労多くして実入り少ない仕事であるため都市貧民が多い。2010年10月平安南道 キム・ドンチョル撮影

 

それでは、市場に並ぶコメは、誰が、どのようにして生産地から都市に運ぶのだろうか?その役割を担っているのは、「テゴリクン」と呼ばれる都市貧民たちである。「テゴリ」は北朝鮮でよく使われる「転売」を意味する言葉で、「転売する人」は「テゴリクン」と呼ばれる。

客を待つ女性コメ商人。コメの種類と価格が表示されている。 2012年11月 両江道恵山(ヘサン)市場で、撮影アジアプレス
客を待つ女性コメ商人。コメの種類と価格が表示されている。 2012年11月 両江道恵山(ヘサン)市場で、撮影アジアプレス

 

北朝鮮の重要穀物生産地である南西部地域では、収穫期になると農村から都市を結ぶ道に食糧を運ぶ「テゴリクン」たちが並ぶ。重いコメを運ぶ苦しい商売であ るのに大した収入にならないため、「『テゴリ』をやっているのは都市の貧民たちだ」と、取材者のキム・ドンチョルは言う。

取締りを避けるために裏道を自転車で疾走する「テゴリクン」の女性たち。2008年8月平壌市郊外の農村部で、撮影チャン・ジョンギル(アジアプレス)
取締りを避けるために裏道を自転車で疾走する「テゴリクン」の女性たち。2008年8月平壌市郊外の農村部で、撮影チャン・ジョンギル(アジアプレス)

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