太平洋戦争末期、大阪・高槻市に掘られた巨大地下トンネル群「タチソ」。戦闘機のエンジン部分を製造する地下工場の目的に掘られたという。保存活動に取り 組む「高槻『タチソ』戦跡保存の会」の橋本徹事務局長(75)のガイドで12月中旬、「うずみ火新聞」の読者とフィールドワークを行った。(新聞うずみ火 /矢野 宏、栗原佳子)
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◆戦闘機の地下工場の目的でつくられるが、敗戦で未完成
タチソのトンネル群は約30本。五つの地区に分けられている。1944年11月から第1トンネル群(第一地区)を掘り始めたが、45年1月に兵庫県明石市の川崎航空機工場が空襲に遭ったため、戦闘機「飛燕」のエンジン部分を製造する地下工場へと目的が変更された。
第一地区に機械が搬入され、8月20日から稼働することになっていたが、その目前で敗戦。総延長は4500メートル前後。戦後は砕石工場ができトンネルの大部分は崩壊。危険なので「保存の会」も案内はしていないという。
この日、私たちが向かったのは未完成の第2トンネル群(第二地区)。参加者は25人。ヘルメットをかぶり、檜尾川に沿って北上していく。砕石会社が見えてきたら左に折れ、勾配のきつい山道に入っていく。斜面のところどころに、トンネルらしき穴が開いているのが確認できる。
まず案内されたのは、「保存の会」が第2トンネル群の「T3」と通称するトンネルだ。
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