運転手193人のうち72人が神戸西労基署に申告。2カ月後には休日労働や長時間労働を是正するよう行政指導が行われたが、会社側は必要な措置を取らなかった。
では、組合を変えようと、山陽電鉄労組の中央執行委員選挙に立候補し、6人を当選させた。組合本部に労働環境の改善を求めたが、返ってくる答えは 「人が辞めるので仕方なかった」「人の充足が追いつかない」。そればかりか、「労基署に申告した者を処罰せよ」という声まで上がった。
このままでは何も変わらないと、会社としがらみのない全港湾神戸支部の応援を受け、運転手の半数を超える140人が山陽電鉄労組を脱退。12年11月には全港湾山陽バス分会を結成した。
会社との初の団交。会社側は「87日の休日」を主張、組合は「104日」を譲らない。13年5月、全港湾山陽バス分会はストライキに突入し、要求を勝ち取る。
勝因について、「ほとんどの営業所は垂水区内にありが、会社側が見せしめ人事で遠くへ配置転換できなかったこと。山陽電鉄労組の選挙で6人当選させ、バス 労組自動車支部の事務所を使えたこと。そこで脱退するよう説得できました」と久田さん。渡辺さんも「労組がしっかりしていたら会社は向き合います」と力強 く語った。【矢野宏/新聞うずみ火】